揚げたてのドーナツに、ふわっときな粉をまとわせる瞬間。甘くて香ばしい香りがふわっと広がるその数秒が、実は私はひそかに好きな時間なんです。
パン屋の朝は早くて体力も使うので、正直しんどい日もあります。でも「きな粉ドーナツを揚げる日」だけは、なぜか少し心が軽くなる気がします。今日はきな粉ドーナツのお話と、私自身の再出発の道のりについて、少しお話ししてみますね。

この記事でわかること
- きな粉ドーナツの魅力と、きな粉そのものについて
- ひねりドーナツを作るときの基本ポイント
- 湿度が高い日の揚げ物で気をつけたいこと
- きな粉が思い出させてくれた故郷の味
- 50代でパン作りの世界に飛び込んだ、私自身の再出発の物語
きな粉とは?
きな粉は、炒った大豆を挽いて作る粉です。香ばしい香りと、ほんのり甘い風味が特徴で、わらび餅やお団子、最近ではラテやスイーツにもよく使われていますよね。
大豆由来なので、たんぱく質や食物繊維も含んでいて、実は栄養面でも優秀な存在。揚げたてのドーナツにまぶすと、外側の香ばしさときな粉の香ばしさが重なって、二重に「香ばしい」を楽しめるのが魅力です。
ひねりドーナツの魅力
今回作ったのは、生地をくるっとひねって成形するタイプのドーナツです。丸いリング状のドーナツと違って、ひねることで表面積が増えるので、揚げたときの色づきや食感の変化が豊かになります。
- 外側はカリッと、中はふんわり
- ひねった溝の部分にきな粉がしっかり絡む
- 冷めても固くなりにくい
家庭で作る場合は、生地を細長く伸ばして軽くツイストするだけでOK。難しいテクニックはいらないので、パン作り初心者さんでも挑戦しやすいメニューです。
ポイント 生地は少しゆるめの発酵バターロール生地がおすすめです。しっかり一次発酵させてから成形すると、揚げたときにふわっと膨らみやすくなります。
揚げ油の温度が命
ドーナツ作りで一番大事なのが、揚げ油の温度管理です。
- 低すぎる → 油を吸って重たい仕上がりに
- 高すぎる → 表面だけ焦げて中が生焼けに
目安は170〜175℃。菜箸を入れて、細かい泡がシュワッと出るくらいがちょうど良い温度です。
注意 湿度が高い日は生地がべたつきやすく、油の温度も下がりやすくなります。この日の朝は室内21.0℃に対して外気温は25.6℃、湿度なんと90%。体感温度は29.8℃まで上がっていました。こういう日は、いつもより少しだけ油の温度を高めに設定して、生地投入のタイミングを慎重にするのがコツです。

きな粉と、故郷の記憶
実はきな粉の香りを嗅ぐと、私はいつも子どもの頃の韓国の味を思い出します。韓国にも「콩고물(コングムル)」という、似たような炒り大豆の粉を使ったお餅のおやつがあって、祖母がよく作ってくれました。
日本に来て30年。最初はきな粉と콩고물が同じような香りだと気づいたとき、なんだか胸がじんとしたのを覚えています。国は違っても、大豆を炒って粉にするという知恵は、どこか通じ合っているんですよね。
そんな小さな発見も、今こうしてパン屋で働きながら、日々の楽しみの一つになっています。
【写真③:きな粉をまぶした完成品トレイ】
中年からの再スタートに寄せて
私がパン作りを始めたのは、コロナで長く続けてきた仕事を閉じたあとでした。趣味として教室に通い、家で何年も練習を重ね、契約社員として働き、韓国での治療期間を経て、今は日本でも有名なチェーンのパン屋さんでパン職人として働いています。
正直、50代でゼロから新しいことを始めるのは怖かったです。でも、きな粉ドーナツを一つひとつひねりながら、「今日もちゃんと一つの仕事をやり遂げた」という小さな達成感が、思っていたよりずっと自分を支えてくれています。
大きな夢を語るのは簡単だけど、毎朝きな粉をまぶす、その繰り返しの中にこそ、やり直しの力があるのかもしれません。
まとめ
- きな粉は炒り大豆の粉で、香ばしさと栄養が魅力
- ひねりドーナツは初心者でも挑戦しやすい成形方法
- 揚げ油は170〜175℃が目安、湿度が高い日は油温を少し高めに
- きな粉の香りが、遠い故郷の味と重なることもある
- 何歳からでも、小さな繰り返しがやり直しの力になる
今日も一日、揚げたてのきな粉ドーナツのように、香ばしく頑張っていきましょう。

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